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病院について

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リハビリテーション部

あらゆる障がいを持つ人のために

リハビリテーション(Rehabilitation)とは、元来ラテン語に由来します。re(再び、戻す)とhabilis(適した、ふさわしい)という二つの単語からなります。つまり、直訳すれば、「再び適合させる」という意味です。これは単に機能回復のための訓練を行い、元の状態に戻すことだけを意味するのではありません。たとえ、障がいが回復しなくとも、その人が「生きがい」や「社会の役割」を持って、自分らしい暮らしを住み慣れた地域で続けることを含んでいます。つまり、「全人的復権」がリハビリテーションの目指す究極の目標です。そのために行われるあらゆる治療、訓練、社会活動の全てがリハビリテーションに含まれるのです。

リハビリテーション部概要

私たちは、中央診療部の一部門として、全ての患者さんのリハビリテーションを担当しています【診療】。しかし、大学病院というアカデミックな施設の一員として、【研究】と【教育】にも力を入れています。以下、私たちリハビリテーション部を紹介します。

1.スタッフ紹介

リハビリテーション部はリハビリテーション専門医・専門医指導責任者1名(白土 修教授)、理学療法士8名、作業療法士3名で運用しております。白土教授を中心に、運動器リハビリテーションを得意とする理学療法士、作業療法士のスタッフがチームとなり、アプローチします。

2.対象となる疾患

整形外科を中心に、内科、外科のあらゆる運動器疾患・外傷が対象となります。特に当センターは、脊椎脊髄先進医療センターを併設しており、特に脊椎・脊髄疾患や外傷患者が多いのが特徴です。疾患別には、椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、脊柱変形(側弯症、後弯症)、頚椎後靭帯骨化症・頸髄症などがあり、運動器リハビリテーションに力を入れています。また、整形外科や脊椎・脊髄疾患以外に癌疾患、血液疾患、内科疾患などへのリハビリテーションも行なっています。

3.診療実績

当センターのリハビリテーション部診療実績は運動器疾患が約60%を占め、入院と外来を併せて、年間延べ20000人の患者のリハビリテーションを行なっております。

また、リハビリテーション部では積極的に最新の医療機器を評価や治療に取り入れています。医学の進歩に伴い、医療機器も日々進歩しています。リハビリテーション部では3次元動作解析装置(VICON)や超音波画像診断装置、スパイナルマウス、重心動揺計、筋力測定器などの最新の評価および治療機器を用いて、患者の状態をより詳細に評価し、治療を行っています。

3次元動作解析装置(VICON)

3次元動作解析装置VICONはカメラに搭載された近赤外線LED群が発光し、その光が反射マーカーにより反射され、最終的にレンズを介してカメラへ検出されることにより反射マーカーの位置を認識する非接触型の測定器です。

医療現場では三次元動作解析技術を用い、歩き方や動作フォームを分析し、それが良い動きなのか悪い動きなのかを詳細に評価することが可能です。リハビリテーション部では脊柱後弯や頚椎・頚髄疾患患者の術前・術後の動作能力を客観的・定量的に評価しています。

3次元動作解析装置(VICON)

超音波画像診断装置(汎用超音波画像診断装置Aixplorer)

汎用超音波画像診断装置Aixplorerは、剪断弾性波の伝搬速度をリアルタイムに計測し、その伝搬速度からその組織の硬さ(弾性率)の定量化が可能です。日本にはまだ50台前後しか導入されていません。

画像診断上、解剖学的異常構造物の形態だけでなく、疾患部位の詳細な観察及び同定並びに治療効果の判定が簡便に行えます。リハビリテーション部では頚椎・頚髄疾患患者の術前・術後の神経硬度やリハビリテーション介入前後の筋硬度を客観的・定量的に評価しています。

汎用超音波画像診断装置Aixplorer(コニカミノルタジャパン株式会社製)

tergumed

tergumedはバイオメカニカル的知見、解剖学、生理学に基づいて構成されており、体幹筋群のトレーニンに基づいた分析を可能にします。体幹の可動域や筋力の評価、トレーニングの実施、プラン作成などを行い、脊椎・脊髄疾患患者の機能向上目的に使用しています。アイソメトリックテストの結果は標準データ(約1万人)と比較し、テスト結果をレポート化することが可能です。腰痛治療機器先進国であるドイツにおいては腰痛に対する運動療法、腰痛予防のための医療機器として品質と安全性が認証されています。

tergumed

4.研究

リハビリテーション部では臨床・研究ともに世界最高水準を目指しており、積極的な研究活動を行っています。当院は、「脊椎・脊髄疾患(せぼね・脊髄の病気)」の治療を得意としております。全国各地から患者が訪れており、脊椎・脊髄疾患に対する理学療法および作業療法、慢性腰痛症や脊柱変形(側弯・後弯)に対する最新の治療や評価方法などの研究を積極的に行っています。毎年、理学療法士、作業療法士のスタッフで、約30以上の演題の学会発表や論文執筆等を行っています。

発表論文
  • Tatsuya Endo, Osamu Shirado, Ryoji Tominaga, Keita Sato, Takuya Miura, Masumi Iwabuchi, Toshikazu Ito:Maximum Gait Speed and Lumbar Spinal Mobility Can Affect Quality of Life in Elderly Women with Lumbar Kyphosis .North American Spine Society Journal (NASSJ) 9(4), 2022, 100100
  • Keita Sato, Ryoji Tominaga, Tatsuya Endo, Takuya Miura, Masumi Iwabuchi, Toshikazu Ito, Osamu Shirado:Hip extensor strength influences dynamic postural changes during gait in patients with adult spinal deformity: A cross-sectional study using three-dimensional motion analysis. Asian Spine Journal,2022, in press.
  • 遠藤達矢, 伊藤俊一, 小俣純一, 福田宏成, 小松 淳, 岩渕真澄, 白土 修:成人脊柱変形患者のQOLに関連する脊柱骨盤配列と体幹および股関節機能.Journal of Spine Research (1884-7137)9(5):965-970,2018
  • 遠藤達矢, 対馬栄輝, 小俣純一, 岩渕真澄, 白土 修, 伊藤俊一:脊柱後彎症を呈する高齢者を対象としたハンドヘルドダイナモメーターを用いた体幹伸展筋力測定法の信頼性。東北理学療法学(26):172-176,2014
  • 佐藤志保、半谷智辰:福島県作業療法士会会津支部活動報告-認知症カフェ「しゃべりば」の取り組み。福島県作業療法学:22-25,2021
発表学会

【国際学会】

  • Tatsuya Endo, T.Ito, M.Iwabuchi, O.Shirado:Can Preoperative Rehabilitation Improve  the Surgical Outcome in the Patients with Adult Spinal Deformity? A retrospective cohort study。ISSLS 46th Annual MeetinKyoto JAPAN ,2019
  • Tatsuya Endo, T.Ito, M.Iwabuchi, O.Shirado:A Comparative Study between SRS-22 and SJ-27 to Evaluate Surgical Outcome in the Japanese Patients with Adolescent Idiopathic Scoliosis; Are there any cultural and social differences.ISSLS 46th Annual Meeting Kyoto JAPAN,2019
  • Keita Sato, Toshikazu Ito, Jun-ichi Omata, Tatsuya Endo, Takuya Miura, Ryoji Tominaga, Masumi Iwabuchi, Osamu Shirado:Hip extensor strength affects dynamic postural change on walking in the patients with adult spinal deformity; A three-dimensional motion analysis. ISSLS Annual Meeting , 2021

【国内学会】

  • 遠藤達矢,伊藤俊一,佐藤圭汰,富永亮司,岩渕真澄,白土修:成人脊柱変形患者における脊柱起立筋活動の特徴 -立体体感前屈運動時の屈曲弛緩比率を用いた検討-,第11回日本成人脊柱変形学会,2021
  • 佐藤圭汰,伊藤俊一,遠藤達矢,三浦拓也,富永亮司,岩渕真澄,白土修:運動療法が成人脊柱変形患者のQOLを改善させるか否かを予測することは可能か?-「うつぶせテスト」の紹介とその有効性-,第29回日本腰痛学会,2021
  • 佐藤圭汰,伊藤俊一,小俣純一,遠藤達矢,三浦拓也,富永亮司,岩渕真澄,白土 修:成人脊柱変形患者の歩行時動的姿勢変化に影響を及ぼす因子-三次元歩行解析による検討-,第49回日本脊椎脊髄病学会,2020
  • 佐藤圭汰,伊藤俊一,小俣純一,三浦拓也,遠藤達矢,岩渕真澄,白土 修:成人脊柱変形患者に対する3ヵ月間の個別的運動療法は動的アライメント不良を改善させるか?,第38回東北理学療法学術大会,2020
  • 佐藤圭汰,伊藤俊一,小俣純一,三浦拓也,遠藤達矢,岩渕真澄,白土 修:成人脊柱変形患者の大きな歩行時骨盤前傾変化は、歩行能力に影響する-三次元動作解析による運動学的解析-. 第28回日本腰痛学会,2020
  • 佐藤圭汰,伊藤俊一,遠藤達矢,富永亮司,岩渕真澄,白土 修:成人脊柱変形患者の術前股関節機能は,術後Rod fracturesの危険因子となる. 第11回日本成人脊柱変形学会,2021
  • 三浦拓也:腰部脊柱菅狭窄症患者における歩行時動的脊柱アライメントとJOABPEQの関係-三次元動作解析による検討-,第49回日本脊椎脊髄病学会学術集会,2020
  • 遠藤浩一,三浦拓也,遠藤達矢,佐藤圭汰,庄司亮平,波多野麻里子,阿部彩夏,白土 修,伊藤俊一:「姿勢の違いが最大呼気流速に与える影響-胸郭可動性との関係-,第38回東北理学療法学術大会,2020
  • 庄司亮平,伊藤俊一,遠藤達矢,富永亮司,半谷智辰,佐藤圭汰,遠藤浩一,岩渕真澄,白土 修:超音波エラストグラフィーを用いた坐骨神経硬度測定の検者内信頼性の検討-ROI法とトレース法を用いた検討-第39回東北理学療法学術大会(学会最優秀賞),2021
  • 根本雄太、伊藤俊一、遠藤達矢、佐藤圭汰、白土 修:スマートフォンアプリケーションを用いた骨盤前後傾の可動性評価の妥当性・信頼性,第20回福島県理学療法士会学術集会(学会奨励賞),2021

5.教育

理学療法・作業療法分野に於いて、時代背景や学校指定規則の改定により、学生時代の実習での到達度は質・量ともに下降の一途を辿り、従来とは大きく異なっています。卒後の臨床教育は就職先の現場に一任され、技術はもちろん教育水準も統一されていません。そのため、リハビリテーション部では質の高いリハビリテーションを提供するため理学療法士、作業療法士の中長期的な教育体制を整備しています。特に運動器疾患に対し高い専門性を備えた療法士の育成に力を入れています。主な取り組みは以下の通りです。

会津リハビリテーションフォーラム

白土 修教授が代表世話人となり2014年3月より「会津リハビリテーションフォーラム」を立ち上げました。この会の特徴は、医師のみならず、理学および作業療法士、看護師、薬剤師、などコメディカルも多数参加し、リハビリテーションチームとしての活動を重視しています。毎回、一般研究発表に引き続き、リハビリテーション医学分野で著名な先生を講師に招き講演会を開催しています。

  • 第1回「ロコモティブシンドロームへのアプローチ;現状の紹介」

    赤居正美先生
  • 第2回「高齢化時代の運動器診療−ロコモティブシンドローム−」

    中村耕三先生
  • 第3回「がんリハビリテーション最前線 周術期から緩和ケア主体の時期まで」

    辻 哲也先生
  • 第4回「リハビリテーションと地域包括ケア」

    石川 誠先生
  • 第5回「近未来における運動器の再生医療−疼痛と麻痺の克服に向けて−」

    中村雅也先生
  • 第6回「明日へつなぐための脊髄損傷急性期治療−リハビリや痛みも含めて−」

    須田浩太先生
新人教育制度(レジデント制度)

リハビリテーション部では2021年4月よりレジデント制度を開始しました。会津医療センターリハビリテーション部におけるレジデント制度は若手療法士に良好な臨床研修の場を提供しています。特に脊椎・脊髄疾患に特化したカリキュラムを組み、臨床・研究のより高いスキルを習得するための制度を導入しております。

※レジデント生の年間スケジュール

※興味のある方はリハビリテーション部までご連絡ください

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