0242-75-2100
診療・研究・医学コラム詳細

column

研究

肺血管の機能と疾患に対するリゾリン脂質の関与

2024 年 1 月に、感染症・呼吸器内科医師が執筆した論文が海外誌に掲載されました。
Kume H, Harigane R, Rikimaru M.
Involvement of Lysophospholipids in Pulmonary Vascular Functions and Diseases.
Biomedicines. 2024 Jan 8;12(1):124. doi: 10.3390/biomedicines12010124
リゾリン脂質(リゾフォスファチジン酸、リゾフォスファチジルコリン、スフィンゴシン 1 リン酸など)は細胞膜で生成された後に細胞外に放出されるので、脂質メディエーターとして肺血管の構成細胞(平滑筋細胞、内皮細胞、線維芽細胞)に作用する可能性がある。これらの細胞に対して収縮、増殖、遊走、接着分子の発現、骨格形成などの生理作用を及ぼすため、肺血管において収縮性亢進、透過性亢進、炎症細胞の集積、リモデリングなどを生じる。これらの細胞機能の表現型変化は、肺高血圧症、肺線維症、COVID-19 を含む疾患に由来する急性呼吸窮迫症候群、動脈硬化、喘息などの疾患の主要な病態生理に重要は役割を果たしている。ここに示した疾患はすべて難治で治癒に導く治療法が確立されていない。リゾリン脂質は、治療法の研究・開発を推進するためのあらたな標的分子となる可能性が期待される。

<論文掲載先>
 https://www.mdpi.com/2227-9059/12/1/124

新着情報

TOP