整形外科・脊椎外科学講座の富永亮司講師らの論文が、欧州の医学雑誌に掲載されました。
整形外科・脊椎外科学講座に所属する富永亮司医師(整形外科・脊椎外科学講座 講師)、白土 修医師(同 教授/講座主任)、岩渕真澄医師(同 教授)らの行った研究論文「Dose-response relationship between spino-pelvic alignment determined by sagittal modifiers and back pain-specific quality of life」が、整形外科・脊椎外科学領域のトップジャーナルの1つである欧州英文誌「European Spine Journal(2020 Impact factor; 3.191)」に掲載されました。
この研究は、成人脊柱変形(Adult spinal deformity, ASD)の重症度が、患者さんのQOL(Quality of life; 生活の質)にどのように影響を与えるかを最新の手法を用いて、調査したものです。成人脊柱変形とは、中高年者に見られる脊柱(背骨)の変形(側弯症、後弯症、「腰曲がり」)を差します。近年、患者数が非常に増え、腰背部痛、立位・歩行障害のみならず、逆流性食道炎など内科的疾患も引き起こすことが知られています。成人脊柱変形の患者さんでは、QOLが低下することが知られていましたが、その重症度との関係は未解明でした。富永医師らは、南会津町・只見町の地域住民約520名の方々を対象に、脊椎および脊椎・骨盤のアライメント(形状)と腰痛特異的QOLの用量反応関係を調べました。その結果、特に骨盤形態角(pelvic incidence, PI)と腰椎前弯角(lumbar lordosis, LL)の差分(PI-LL)が大きいほど、臨床的に意味のあるQOLの低下が見られるという新しい発見をしました。
当講座では、成人脊柱変形に対する手術、リハビリテーションを精力的に行っており、今回の研究結果を有効に活用してまいります。
【論文掲載先】http://link.springer.com/article/10.1007/s00586-021-06965-3