菊地臣一 コラム「学長からの手紙 〜医師としてのマナー〜」
205.次代を担う君達へ
私が整形外科に直接携わる時間もあとわずかになりました。3日後には整形外科を主たる業務とする立場から離れます。あっという間の17年5ヶ月でした。ゼロからの教室再建でした。自分の全身全霊を傾けてここまで頑張りました。御蔭様で多くの若者が入局してくれ、そして成長しました。今では、海外でも”Fukushima“といえばすぐに分かって貰えるような組織になりました。そのような教室を育てたこと、そして多くの若者が私を慕って教室に入ってくれて、成長して各分野で活躍していることに、教育者としての喜びとともに誇りを感じています。
私の教室は、朝7時廻診、7時半カンファレンス、そして1日3回(早朝、日勤帯、消灯時)の廻診が鉄則でした。時間厳守、服装を整えること、そして挨拶の実行ももう一つの約束事でした。当初、学生は“菊地ヨットスクール”と呼んでいたことを今、鮮やかに思い出します。
私の弟子達、そしてこれから整形外科を目指すであろう、研修医や学生達に最後のメッセージを送りたいと思います。各領域の一流と評される人が、集中力、或いは努力、更には情熱の持続が大切である、とよく説いていることを耳にします。しかし、私のような凡人にはとても集中力の持続、或いは情熱の持続など不可能です。只、医師になって以来、約40年近い年月で実践し、正しかったと思うことがあります。それは「愚直なる継続」です。集中力や情熱を持続することは、私のような凡人にはとても出来ませんが、何か一つのことを決めて、それを続けることは出来ます。私はその一つとして早朝の6時半から病院に入り、7時から廻診、7時半カンファレンス開始ということを続けてきました。これを全うできたことに、ささやかな自負と自分自身の生き方を自分に納得させられるものがあります。
どうぞ君達も何でもいいですから、毎日継続できることを決めて始めてみて下さい。但し、毎日です。毎日、5分間、本を開くことでもいいのです。このポイントは、本を読み、理解することではなく、開くことだけでいいのです。その積み重ねを3年間続けると、最早、誰も到達できない境地に達することができます。愚直な継続が最大の武器であり、大成する王道だと思って頑張って下さい。
(2008.03.29)