菊地臣一 コラム「学長からの手紙 〜医師としてのマナー〜」
47.いつか我が身に振り返る
仏教に輪廻の思想があります。私は、この事を大阪市立大学脳神経外科に留学していた時に当時の教授である西村周郎先生から教えられました。私はカナダに留学する前に大阪市立大学脳神経外科に半年間留学していました。その時、教授は私にその当時一本一万円もする10−0のナイロン糸を自由に使わせてくれました。
その当時としては、非常に破格の待遇を受けたわけです。私が大阪市立大学を去る日に食事に誘われ、その席でこう言われました。「菊地君、私はあなたに私の出来る全てをしてあげたつもりです。ですから将来君が人を世話する様になったら、私にしてもらったのと同じ様にしてあげて下さい。これが輪廻の思想です」と言われました。私はこの言葉に強烈な印象を受けました。その後月日は流れ、今私は教職の立場にあり、時々人を学外から迎える事も希ではありません。その時に常にこの言葉を思い出します。
我々は自分で良い事、悪い事色々しますが、いつかは我が身に跳ね返って来る筈です。その事を心して日常業務をこなしていくべきなのではないでしょうか。