菊地臣一 コラム「学長からの手紙 〜医師としてのマナー〜

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184. 言葉は凶器にも、武器(天の声)にもなる

教授就任十周年を迎え、色々な会合で思い出話をして戴きました。それによって自分自身色々変わっても、変わらないことの大切さ、そして失ったモノでしか語れない事のあることを感じました。一方、さり気ない言葉で他人は奮い立ち、あまり考えずに発した言葉で他人を傷つけ、結局、自分の敵にしてしまうことの恐ろしさも知りました。

相手に関心を持っていることを示す為の一言、そして相手の変化に敏感に反応しての言葉、本人は何気なく言ったつもりでも相手に与える感動には想像を超えるものがあります。他人は言葉によって奮い立ち、大きな働きをします。言葉は「人としての力」そのものです。また、言葉は他人を熱く動かしてもくれます。その逆もまた真実です。

私が僻地病院を建て直す為に懸命になっている時に、何気なく言った言葉、その言葉を既に私は忘れていましたが、その言葉がどれだけ他人を勇気付けたかを教授就任十周年を機に思い知らされました。一方、私が言ったことを忘れている言葉で、今なお、傷付いたり、或いは人生を狂わされた他人がいることもまた事実だと思います。それだけに、言葉を馬鹿にしてはいけないのだと改めて思い知らされました。

 

 

 

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