菊地臣一 コラム「学長からの手紙 〜医師としてのマナー〜」
18.他人に物を聞く時には、自分で出来るだけ調べてから聞く事
医師は若い時にはその大部分の知識は耳学問で身に付けます。本を最初から読んでも身に付きません。何気なく言った先輩や上司の格言はスッと耳に入り、長く残ります。但し、自分の本当の身になるのは、自分で得た疑問を徹底して文献によって調べ、それで何が判って何が判らないのか、それで自分なりに現状把握をしてから、それが現在の医療水準と照らして妥当なのかを先輩に聞くのが普通です。
その時に自分の知識がゼロの状態で聞くと、例え素晴らしい答えを上司、或いは先輩から貰っても決してそれは身に付きません。また、相手は充分に知識を持って聞く時には、それなりの答えを用意します。小さくにしかならない太鼓には小さく答えるであろうし、大きくなる太鼓には大きく叩いて答えるでしょう。ですから、人に物を聞く場合には先ず自分で調べてから聞くべきです。それが、結局は自分の得になります。