菊地臣一 コラム「学長からの手紙 〜医師としてのマナー〜」
16.自分よりも他人は自分に対して関心を持っていない
よくこれは昔から言われている事です。自分に対しては、その本人が最も関心があるのです。例え恋人でも、夫婦でも、子供でもその本人よりも関心のある他人はおりません。ですから、仕事の上でも日常生活の上でも、絶えずこの事は意識していなければならない事です。
例えば、自分の家族の写真をよく職場に持ってくる人がいます。周りの人は、色々コメントします。但し、人はコメントしている内容程は、その事に関心を持っていない筈です。そういう事をするなと言っているのではありません。ただ自分がその写真に対して思い入れている程、他人は思い入れがないという事です。ですから、普通 は自分からプライベートな事は話さない方が、仕事上は無難なのです。人に聞かれたら、話すのは一向に構いません。それが、人と人との繋がりの潤滑油になる事が往々にあります。しかし、自分から話す必要はありません。その理由は、タイトルの通 りです。
ですから逆に言うと、人とうまくやるコツは他人になるべく関心を持つ事です。医療上もしかりです、患者さんが少しでも表情に変化があったら、その表情の変化を率直に口に出す事です。それによって相手は自分に関心を持ってくれているという事が判り、心が開かれます。職場間でも同様です。相手の服装の変化、髪形の変化、表情の変化があったら、率直に口に出すべきです。それによって、対人関係が旨くいきます。他人に関心を持ってもらうという事は非常に嬉しい事です。それを旨く使わない手はありません。但し、タイトルの様な事を常に頭に入れておかなければいけません。