国際交流 International Exchanges
廣岡慧子 「26 Golden Days in Wuhan University」 日本語要約版
みなさんはじめまして。医学部5年の広岡慧子です。
この春、武漢大学医学部に約1カ月間留学してきました。私にとってこの1カ月は言葉で表すのが難しいくらい本当に充実した素晴らしいものでした。
今回はその一部をここで紹介し、みなさんに興味を持っていただけたら嬉しいです。
武漢大学には4つのキャンパスがあり、そのうち最も大きいメインキャンパスと最も小さい医学部キャンパスは、バスで10分くらいの距離にあります。
メインキャンパスはまさに1つの森でした。建物はどれも古く歴史ある雰囲気で、大学というより博物館のようでした。あたりには季節の花が香り、鳥の囀りを聞きながら背の高い木々の間を歩いていると、そこが大学のキャンパスであることを忘れてしまいそうでした。
方向音痴な私は友達の案内がなかったら間違いなく迷ってしまったでしょう・・・。
4つのキャンパスのうち一番小さいとはいえ、医学部キャンパスは福島医大とは比べ物にならない程大きく、講義棟や研究棟の他に図書館、体育館、バスケットコート3面、学生食堂
(中華料理・インド料理など3カ所。とにかく安い、種類が豊富、そして美味しい!!日本にこんな学食があったらどんなに良いか・・・)、売店、学生寮 (ほとんどの学生は寮で生活しているため何棟もあった)、教員のための寮などがありました。
大きな庭園のようなキャンパスのいたる所にテーブルとベンチがあり、学生達は静かな木陰で勉強したり休憩したりしていました。
武漢大学は、中国人学生だけでなく外国人留学生の医学教育にも力をいれていて、留学生用の講義 (英語で行われる) や留学生用の寮などがありました。
今回、私は主にこの留学生用の講義に参加していたので (一度中国語での講義を受けたけれどほとんどわからなかった)、インド・パキスタン・エジプト・ソマリア・UAE・カナダ・アメリカ・フランス…など世界中から集まった留学生たちと接する機会が多かったです。彼らはとてもフレンドリーで親切でなによりオープンでした。
今回の留学は基礎上級の一環ということで、1〜2年生とともに解剖、免疫、生化、遺伝、組織など様々な基礎医学の講義・実習に参加しました。1〜2年生とはいえ彼らはとても優秀で (英語はもはやnative並・・・) 地元で既にpre-medical schoolを卒業している生徒も多く、授業や自主学習に熱心に取り組む姿勢に感心しました。
授業中は質問があちこちから飛び出し、先生に「ここまでわかる?」と聞かれて「わかりませーん!」と潔く言える国民性(?)に心を打たれました。講義の中で理解しようとする生徒達に応え、先生は何回でも説明していました。
私たちの大学では講義は先生の話を生徒が聞いて学ぶという形ですが、武漢大学では先生と生徒が言葉のやりとりをしながら一緒に講義を作っていくという印象でした。クラスは良い意味でリラックスした雰囲気で、この点では私たちは彼らから学ぶべきだと思いました。
私にとって、今回の留学での最大の収穫は人々との出会いでした。
この留学中に私は数え切れないほど多くの人々と出会い、たくさんの友達ができました。私たちは教室で、廊下で、キャンパスで、お互いの部屋で・・・色々な場所で話をしました。
時間は1カ月間と限られていたけれど、話したいことは限りなくありました。お互いの国や宗教について、故郷や家族や友達について、将来について、趣味や恋愛について、更には好みのタイプまで (笑)
帰国してからもメールでお互いの近況報告を続けています。
異なる民族が交わるこの場所では、絶対的な価値やものさしは存在しません。自国の衣装を身につけた生徒達がキャンパスを行き交う光景は、それを象徴する一つのイメージとして心に残っています。
それぞれの文化を当たり前のように持ちながら異文化との交流を楽しむ彼らが、私にはとても美しく見えました。そしてそうした何のものさしもない世界で、私は自分が踏み出した足が自分の道をつくる感覚を知った気がします。
大袈裟に聞こえるかもしれませんが、自分が自分自身から解放されてどこへでもいけるような気がしました。今私は歩いてる、生きてると感じました。彼らとの出会いによって、自分の外側に限りなく広がる世界を発見しただけでなく、自分の内側の狭い場所に無意識に押し込めてきた自分自身に気付くことができました。
様々な出会いと発見に満ちた中国での生活の中で、最も自分を驚かせたのは、この解放された自分自身でした。
振り返ってみるときれいな言葉が多いようですが、異文化との交流の中で人間の心の奥にある複雑な感情を、少しも感じなかったわけではありません。
そこにはもちろん言葉や偏見の壁があり、決して忘れることのできない歴史がありました。しかしそれ以上に、人間同士の関わりの素晴らしさを感じずにはいられませんでした。
人と人とは、言葉や能力や心に渦巻く感情を超えた、もっとずっと深いところでつながるものだと信じています。
なんだか堅苦しい内容になってしまいましたが、もし少しでも興味が湧いた方がいたら迷わずチャレンジしてみることをお薦めします。
実際に向こうに行くまでは不安なことが多いかもしれませんが (実際私たちもそうでした)、初代としてこれだけは言わせてください。絶対に素晴らしい経験ができます。少なくとも私にとってはこれまでの人生で最高の1カ月でした!
最後に、今回、素晴らしい留学の機会を与えてくださった方々、その成功のためにご支援ご協力いただいた全ての方々に感謝いたします。
本当にありがとうございました。
医学部5年 廣岡 慧子
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● 武漢大学 ( http://www.whu.edu.cn/ 中国語サイト )