福島県立医科大学ビジョン
福島県立医科大学ビジョン2008
I 県民医療の原点としての福島県立医科大学
II 学生を魅了する福島県立医科大学
III 世界標準となる新しい医療を創る福島県立医科大学
IV 心通う保健医療を追究する福島県立医科大学
V  常に発展する福島県立医科大学
はじめに
福島県立医科大学は、その端を1873〜1887年の須賀川医学校に発し、1944年に創設された福島女子医 学専門学校を経て、1947年に新制医科大学として設置が認可されました。1952年には附属看護学校が開設され、1998年 に看護学部が設立されました。この間、一貫して福島県民はもとより広く国民の保健・医療・福祉に貢献する医療人の 育成に努力し、国内外で活躍する幾多の人材を輩出するとともに、多くの研究業績を上げてきました。
人類は今世紀に入り、人口・食糧・資源・環境等の地球規模での問題に直面し、歴史的な転換期を迎えて います。医療分野においても、医学研究ならびに医療技術の革新的な進歩の反面、少子高齢化に伴う疾病構造の変化・ 医療に対する高い要望・特定領域の医師不足・医療費増大など、迅速な対応を迫られる問題が山積しています。そして、 それが福島県でも顕著に現れています。本県でのこれら諸問題の解決は、国内に留まらず世界における医療諸問題の解 決に直結しています。
このような状況下、2006年に公立大学法人となった福島県立医科大学は移行期を終え、2008年4月から完 全法人化を果たしました。また同時に、大学キャンパスの光が丘移転から20年、看護学部開設から10年という大きな節 目の年を迎えました。私たちはこれを機に、県民のみならず全国の皆様に向け、これら山積する諸問題に立ち向かう決 意を「ビジョン2008」として表明します。
「ビジョン2008」は、福島県立医科大学の持つ人材・資源・潜在能力・可能性を基盤として、学生が魅力 を感じる将来像、県民の期待する将来像、職員の士気を高める将来像、そして大学全体としての目指すべき将来像を 示すものです。私たちはこのビジョンのもと、全員が力を合わせ、輝かしい未来へ向け進んでいきます。
I 県民医療の原点としての福島県立医科大学
「福島県立医科大学は、
人々の健康を守る優れた医療人を育成し、医療における"福島モデル"の創出を目指します」
福島県立医科大学は明治初頭からの伝統を受け継ぐ医療人育成の"原点"です。医療分野の大転換期を迎えつつある 今、福島県立医科大学は医学・看護学の未来を世界的視野で捉え、国民が直面する医療問題を解決する強い意思を持ち、 最新かつ高度な知識と技術を駆使する医療人育成のために新たな決意をします。教員は教育力を不断に高め、学ぶもの の期待に応えるカリキュラムを整え、学生の自主的学習態度を養成し、創造性豊かな世界に通じる研究活動を展開しま す。附属病院は特性を活かした医療を実践し、学生・研修生にとって魅力ある研修プログラムを提供し、県内外医療施 設との密接な連携により互いに診療・教育力を高め、総合性と専門性をバランス良く活かせる医師・看護師教育を行い ます。また、その成果を県民そして国民の皆様に還元することにより、医療における"福島モデル"の創出を目指します。
II 学生を魅了する福島県立医科大学
「福島県立医科大学は、
向学心に燃えた"次世代の学生"が集う"魅力"ある大学を目指します」
直面する様々な医療問題を克服するためには若き医療人の力が必要不可欠です。このため大学には、希望ある未来 社会づくりに貢献する有為な人材育成が求められています。本学の学生は、勉学に励み、ひとのいのちと尊厳を尊び、誠実で 信頼される医療人となり、社会に貢献することを自らの使命と感じています。福島県立医科大学は、この学生の純粋な 使命感を尊重し、整備された環境のもとで質の高い教育を提供し、地域や国際社会との活発な交流を重視し、世界に誇 れる特色と個性を持つ大学づくりを目指します。自ら向上しようとするものに良質な教育環境を提供することにより、 学ぶものが誇りと高い倫理観を持ち、活気に溢れ、勉学や課外活動に意欲的に取り組む大学、そして向学心に燃えた"次 世代の学生"が集う"魅力"ある大学を目指します。
III 世界標準となる新しい医療を創る福島県立医科大学
「福島県立医科大学は、
"連携力・研究力"で世界に通じる新たな医療の創出を目指します」
今、私たちが恩恵を受けている先進医療は過去の研究成果の上に成り立っています。しかし、依然として難病は難 病として残され、医療を取り巻く社会制度の困難さも解消していません。私たちは、これら多くの問題の「粋」を抽出・ 解決し、次世代の医療に繋げていく責務を有しています。本学の強みは地域連携と大学内連携を基盤とする研究力です。 今抱える多くの問題に対し、この連携の中に回答を見出そうと思います。国内外の大学、地域産業界および国や県の政 策との連携も視野に含まれます。福島県の生命科学・医学・看護学の中心拠点として、これら数々の連携を支え、新た な知と技の創造に貢献します。そして、その成果を日本国内のみならず世界へ発信していきます。本学は"連携力・研究 力"で世界に通じる新たな医療の創出を目指します。
IV 心通う保健医療を追究する福島県立医科大学
「福島県立医科大学は、
人々の声に耳を傾け、"心通う保健医療"の実現を目指します」
今日の健康問題は保健医療のみに留まらず、環境・経済・ライフスタイルなど人々のくらし全体に波及 しています。"生涯にわたる健康なくらし"を実現していくためには、"病(やまい)"を持つ人も持たない人も、すべて が健康問題を自らの課題として取り組んでいく必要があります。私たちは医学および看護学の教育・研究・実践を通し て、すべての人々のための保健医療のあり方を追究するとともに、病む人々が安心と満足を感じられる治療・看護の実 践を目指します。人々の声に耳を傾け、"病(やまい)"についての正しい知識・情報を提供し、病む人々が自己決定に 基づく治療・看護を受けられるよう支え、21世紀に求められる住民参加型の"心通う保健医療"の実現を推進します。多 様な職種の医療人がそれぞれの専門性を生かし、チーム医療・地域連携医療を展開し、きめ細かい温かみのある医療を 提供します。
V 常に発展する福島県立医科大学
「福島県立医科大学は、"自らの意志"で将来を展望し"進化"し続けます」
法人化により今、福島県立医科大学にはより一層の多様性・柔軟性・独創性が求められています。自由 裁量は拡大しましたが、それと引き替えに一層厳しく自らを律する必要性にも迫られています。人々の声に謙虚に耳を 傾け、成功と失敗を積み重ねながらも、将来への道を自ら選択し実行していく必要があります。その過程で、時代を超 えて変わらない医療の本質を見極め、将来を担う柔軟な発想と挑戦する意欲を持った若い世代を育てなければなりませ ん。そして、激動する社会の変化に対応しながら、県民には安心の医療を、学生には魅力ある教育を、働くものには仕 事に生きがいを感じる良質な環境を提供し続けなければなりません。この目的達成のため、広く意見を求め、現状を分 析し、問題点を明らかにし、人材を適所に配置して大学の機能をさらに高めていきます。そして本学はこのビジョンを 常に発展させながら"自らの意志"で将来を展望し"進化"し続けます。
おわりに
「ビジョン2008」は医学部・看護学部教員、附属病院職員、事務職員、両学部・大学院学生など、 本学の全構成員からいただいたアンケート結果をもとに、本学で働き学ぶ皆さんの意見を広く取り入れ策定したもので す。したがって「ビジョン2008」は、私たち福島県立医科大学の構成員が自らの手で作り上げた決意表明であり、 未来に向けた宣言です。これから私たちは、このビジョンを常に意識し、目標達成に向け高い志と誇りを持って行動し ていきたいと考えています。県民そして国民の皆様、本学に学ぶ学生諸君、さらには保健医療の現場で活躍している同 窓生諸氏におかれましても、本学の取組みを温かく見守り、引き続き御支援、御協力いただけますようお願いいたしま す。