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令和6年度学位記授与式(卒業式) 学長式辞  (令和7年3月25日)

令和6年度学位記授与式の様子1 令和6年度学位記授与式の様子2 令和6年度学位記授与式の様子3

本日、学位を授与された大学院生54人、学部生349人、修了を認められた別科生20人、計423人のみなさんに、福島県立医科大学の全ての教職員を代表して、心からお祝いを申し上げます。人々の命と健康を守るための学びが決して楽ではないことを誰よりも私たちがよく知っており、みなさんがそれぞれに困難を乗り越え、本日ここに集うことができたことに深く敬意を表します。併せて、それを支えて来られたご家族および関係者の皆様に、お祝いと共に厚く御礼を申し上げます。

また、本日は内堀雅雄福島県知事、西山尚利福島県議会議長をはじめとするご来賓の皆様、ご多忙の中、本学の学位記授与式にご列席を賜り、誠にありがとうございます。今年度は2021年4月に開設した保健科学部にとって初めてとなる記念すべき学位記授与式でもあります。保健科学部の設置、運営にあたり、本日ご列席の皆様を始め、多くの皆さまよりいただきました多大なるご支援に、この場を借りて改めて厚く御礼を申し上げます。
 そして、福島県との連携成果の一つとして今年度、双葉地域における中核的病院が本学の附属病院として整備されることが決まりました。これは、福島の復興を健康と医療の面から支えるという本学の使命の完遂のために欠くことのできない取り組みです。県と強力にタッグを組み、2029年以降の開院を目指し急ピッチでプロジェクトが進められますが、医療従事者の慢性的な不足は続くものと思われます。みなさんには、福島で医学、医療を学んだ者として、ぜひ、この双葉地域における中核的病院を活躍の場に選んで欲しいと願っています。

さて、みなさんは本学においてそれぞれの分野の「専門家」として必要とされる知識と経験を身に付け、認められたからこそ、この場にいます。今日を境にみなさんはそれぞれが学んだ領域の「専門家」、すなわち、特定の分野について高度な知識や優れた技能を持った人物として社会に出ていきます。これからは、自らが習得した知識や技術を存分に発揮し、社会に役立てて欲しいと期待していますし、社会からも期待されています。そこで、大学として最後に伝えたいことは、その期待に応えるために「しなやかに学び続けよ」ということです。

学びにおいて、敢えて言うまでもないことですが、今日がゴールではありません。医療、保健の領域に限らず、あらゆることが時間とともに変化し、進化しています。そのスピードはますます速くなっているともいわれます。そして変化のスピードが速い分、ほんのわずかな一時期だけそのキャッチアップを怠っただけでも、もう何がどうなっているのか現状が分からなくなってしまい、変化に追いつけなくなることがあります。自分が積み重ねてきた知見はあっという間に古くなり、役に立たなくなってしまうのです。学び続ける、すなわち常に自分の知見をアップデートするという問題意識を忘れず、これからの専門家人生を歩んでください。

さて、皆さんは大学において、先人の努力によって導き出された成果、体系化された知識の枠組みを一つ一つ学び、身に付け、応用してきました。しかし、社会に出ると学んだことのない課題にも直面します。専門家になるためこれまで学んできた知識の枠組みから外れた、問題や課題がいかに多いかを思い知らされるはずです。だからこそ、さらに深く学ぶことになります。ただ厄介なことに、学べば学ぶほど、さらに課題が見えてくるのです。私は先ほど、「専門家」とは「特定の分野について高度な知識や優れた技能を持った人」と言いましたが、これはあくまでも世間一般から見た専門家像です。「専門家」自身であるみなさんは「専門家」であり続けるために、常に学び続けなければならず、しかも学び続けるがゆえに新たな課題に直面せざるを得ないという宿命を負っています。

私たちは専門家として、もちろん直面する課題を無視するわけにはいきません。これまでの学びの中に解決策、対処法がなければ、自らそれを生み出すしかありません。そのために求められるのが、学んだ知識の枠組みからはみ出すことです。言うなれば「型破り」のススメです。もちろん型を破る以上、当然のことですがその型を十分習得していなければなりません。それを認められたからこそ、皆さんは今日ここにいるという前提の下で話をしています。これまでの学びの中に課題解決の答えがないなら、これまで学んできた知識体系の枠組みから少しはみ出て考えてみることが必要なのです。誤解を恐れずに言えば、学び続ける時、既存の枠組みに頑なにしがみつくことは、課題解決を遅らせ、知の発展を拒みます。みなさんは、今、ひとりの専門家として社会に出ていくにあたり、知識体系の枠組みを学びながらも、少しその枠をはみ出し、型破りな思考ができる「しなやかさ」を身に付けるように意識してください。真の専門家とは、学び続けられるタフさと、しなやかさを持ってより深い課題に対峙し、鋭く対応にあたる者なのです。

みなさんは覚えているでしょうか。みなさんが入学した当初から福島県立医科大学では、「レジリエンス」というキーワードを常に発し続けてきました。しつこく何度も言い続けましたから、一度は耳にしたことがあると思います。レジリエンスとは一般的には、強靭化とか被害からの迅速な回復という意味で捉えられます。しかし、私は常にこの言葉に「しなやか」という言葉を当ててきました。根差す軸は決してブレることがあってはなりません。しかし、想定外の事柄に向き合った時、類似の前例に倣い、型通りに対応しようとするのではなく、しなやかに自由な発想で、これまでにない対処法であってもためらわずチャレンジすることを、私はみなさんに求めてきました。そもそも倣うべき前例などない災害からの復興を目指しているのです。前例に基づくのではなく、新しい知と経験を創出することこそが、新しい福島と福島県立医科大学の礎になると考え、レジリエンス、すなわち「しなやか」であろうと呼びかけ続けたのです。

福島、日本に留まらず世界が急速に変化しています。歴史に学ぶ、言い換えれば、既存の知識の枠組みをしっかり習得することは大前提です。そのうえで、みなさんには、はなむけの言葉として、
Embrace lifelong learning with resilience and grace.
すなわち「しなやかに学び続けよ」という言葉を贈りたいと思います。

みなさんは本日をもって、それぞれの進んできた道の専門家となります。
ようこそ専門家の世界へ。
ともに学び続け、社会と知の発展に尽くしましょう。
皆さんのこれからのさらなる飛躍を期待しています。

令和7年3月25日
公立大学法人福島県立医科大学
理事長兼学長 竹之下 誠一

事務担当 : 教育研修支援課

学生総務係 : 電話 024-547-1972
FAX 024-547-1984
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