《被災地現場視察》 東京電力福島第一原子力発電所視察
帰還困難区域へ入域し、区域内の現状および福島第一原子力発電所を視察。原発正門付近に新たに設置された入退域管理施設、救急医療室、さらに原発敷地内(汚染水処理施設「アルプス」、展望台、4号機近傍作業現場、5・6号機非常用ディーゼル発電機施設、旧5・6号救急医療室跡、津波被災現場(破損タンク等)、1号機建屋近傍、免震重要棟近傍を専用車に乗車のまま視察。各施設について、東電職員から解説を受けた。また、帰還困難区域退域後、車両および参加者の表面汚染スクリーニングを専用施設で行い、Jヴィレッジにおいて代表者の内部被ばく検査を実施した。
  

 感想等(抜粋)
収束にはまだまだ長期間が必要と言わざるを得ない1〜4号機の状態や、1000基の汚染水タンク、フィルタマスクをつけて作業する方々などを目の当たりにし、今後の対応が非常に長くかかり、それに伴う医療面での対応も重要であることが改めて認識できた。また敷地内を移動中にバス内の空間線量率の値が刻々をと変化し、かなり高い値を示す事も確認でき、現場の作業の大変さを改めて感じた。医療室の見学では、勤務が24時間〜72時間交代であると聞き、かつ医療室内に寝泊まりしているとのことで、スタッフのストレスが大きいのではないかと感じた。受診者が思いのほか少なく、多くの作業者がいるものの事故が少ないと感じた。


最後に、このセミナーへ参加しての全体のご意見・ご感想を伺いました。(抜粋)

  最新の科学データから今までの調査結果をさまざまお聞きして、これからやらなければいけないことはまだまだたくさんあることを痛感し、身がひきしまる思いでした。自分には何ができるのだろうと考えさせられました。さしあたり今の自分の仕事を頑張ってやるしかないですが、何か協力できることがあればご協力させてください。とりあえずよろず相談に継続して参加させてください。今後ともよろしくお願いいたします。今後の生きるはげみとなった3日間でした。貴重な体験をさせていただきありがとうございました。

  福島原発事故による社会的影響はあまりにも大きく、問題の複雑さや根深さなどを改めて肌で感じる事が出来ました。社会的な側面に関する関心を高く保ちいろいろな情報を得ていきたいと思いました。  また、心理学的アプローチも非常に重要であると再認識しました。住民の感情に寄り添いながら、正しいデータを理解してもらう事が我々医療職者に課せられた任務だと思いますが、そのためにはどの様にアプローチすれば良いのかいろいろなヒントをいただきました。WSの課題は”低線量被ばくに関する医療体制への信頼性が低い状態でどの様にone-way、two-wayのアプローチをしていくか”というもので、これを福島で行う意義とスタッフの本気度がひしひしと伝わりました。


  今回のセミナーを受講して感じたことは、新聞やテレビなどでは報じられないことが、まだまだたくさんあるということでありました。たとえば、土壌の除染に関して、人が居住する地域や農地、いわゆる生活圏の除染は報じられ、徐々に進められていることは承知していましたが、それ以外の広大な地域(里山や山林など)の除染は現時点では手つかずで、今後進められるとのことでした。また、東京電力福島第一原子力発電所のニュースを見聞きしない日はありませんが、東京電力は加害者的なイメージを持ってしまいます。会社組織もしくは経営者の責任は逃れられないところでしょうが、原子力発電所で必死に復旧作業をしている作業員たちまで加害者にしてはいけないと強く思いました。彼らは命がけで福島第一原子力発電所の復旧作業を進めていることに目を向けないといけないと思います。復旧作業員がいなければ災害はさらに拡大し進んでしまうことを認識すべきと感じました。県民健康管理調査(妊産婦や精神疾患患者も含む)、ホールボディーカウンターや食品の放射線測定、チェルノブイリからの教訓、情報管理とマスメディア対応、リスク認知と多岐にわたった講義を受け、更に見識を深めることができました。