診療科のご案内

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歯科口腔外科

スタッフ紹介
金子 哲治
診療科部長
金子 哲治
役職 氏名 専門分野
講師(部長) 金子 哲治 口腔腫瘍、インプラント治療
助教(副部長) 菅野 千敬 口腔腫瘍
助教 山崎 森里生 口腔腫瘍
助教 北畠 健裕 一般口腔外科

 

診療科の紹介とアピール

歯科口腔外科とは
 歯科口腔外科は口腔を中心に顔面や顎骨、頸部に生じた疾患の治療を行っています。
例えば、抜歯を受けた御経験がある方は多いかと思いますが、抜歯は最も頻度が高い外来手術の一つです。抜歯術の難度は様々ですが、特に、顎骨に完全に埋まっている智歯の抜歯は難度が高く全身麻酔下で行うこともあります。また、齲歯や歯槽膿漏が悪化すると、炎症が顎骨や周囲組織に波及し急速に重篤化することがあります。このような場合は緊急に入院下での治療が必要です。口腔疾患は大きく分けて以下のようになります。

@埋伏歯や過剰歯などの難抜歯 
A顎骨のう胞(歯根のう胞や含歯性のう胞など)、顎骨良性腫瘍(エナメル上皮腫など) 
B口腔粘膜疾患(白板症や難治性口内炎など) 
C顎関節疾患(顎関節症、顎関節脱臼など) 
D口腔がんなど悪性腫瘍 
E顎変形症 
F薬剤性顎骨壊死 
G口唇口蓋裂などの先天性疾患 
H歯性炎症(顎骨炎、顎骨骨髄炎、蜂窩織炎や顎骨周囲膿瘍など) 
I顎顔面、口腔外傷
J無歯顎に対するインプラント(人工歯根)治療
K睡眠時無呼吸症候群に対するマウスピース治療
Lがん治療を受けている方の口腔


当科での特徴の治療

1 口腔がんに対する動注化学療法  詳細はこちら

  口腔がんは、手術治療を基本として、化学療法、放射線療法を組み合わせて行うことが標準とされています。進行症例では切除する範囲が広く、長時間の組織移植手術となり術後の 口腔機能、整容面でのハンディキャップなどが問題となることがあります。
  当科では、これらの患者さんの負担軽減を目的として、動注化学療法と前述3つの治療を組み合わせて行っています。

・動注化学療法:耳の前からカテーテルを挿入し、腫瘍の近くの動脈までカテーテルを 留置して、腫瘍の周囲に集中的に抗がん剤を注入する方法です。

十分な効果が得られた症例では、手術時の切除範囲縮小が可能となり、口腔機能や整容面での負担軽減が期待できます。放射線治療との組み合わせなど、より高い治療成績を目指し日々治療に取り組んでいます。高齢者においても比較的安全に行えることも特徴の一つです。


2 薬剤関連性顎骨壊死の治療  詳細はこちら

   骨粗鬆症、悪性腫瘍・転移性骨腫瘍の患者さんに対して、骨折を予防する目的で骨吸収性抑制剤を使用することがあります。しかし、本剤の使用経験がある方が、抜歯などの顎の骨に侵襲が加わる治療を受けると、抜歯した部位の骨が治癒せず、顎骨壊死という状態を起こすことがあります。
   そのため、骨吸収抑制剤の開始前には歯科医院にて口腔内の評価を受け、必要に応じて歯科治療を行っておくことが推奨されています。しかし、それでも0.1〜3%程度で顎骨壊死が発症します。発症すると、歯肉腫脹、疼痛、排膿、骨の露出といった症状が出現し、最悪の場合は顎骨の病的骨折に至る場合もあります。
  当科ではこのような薬剤に関連した顎骨壊死に対して、次のような治療を行っています。まずは保存的治療として口腔衛生処理、指導、抗菌薬の投与、分離した腐骨の除去を行ないます。それでも改善が認められなければ、外科的治療として手術で壊死した部分の顎骨切除を行っています。


3 顎変形症・顔面の非対称の治療  詳細はこちら

  上顎骨あるいは下顎骨の大きさ、形や位置などの異常によって、顔面が変形し、噛み合わせが悪くなっている状態を顎変形症といいます。
  下顎のみが大きくなると、顔つきは下顎が突出した状態(下顎前突症)となり噛み合わせは受け口になります。顎変形症になると、噛み合わせが悪いために食べ物が噛めなくなったり(咬合不全)、口の中の変形によって言葉が正しく発音できなくなったりします(発音不全)。同時に、顔の形に変形を生じるために、精神的ストレスの原因となる場合もあります。 当科では矯正歯科専門医との連携を綿密にし、手術を行います。


4 無歯顎におけるインプラント(人工歯根)治療

  歯科インプラントは顎骨の状態(幅や高さ)が良好でないと、治療を行うことが 困難でしたが、最近の再生医療の進歩により、顎骨へ骨を造成することが可能になりました。当科では造骨手術に用いる医療機器の開発に取り組んでいます。


5 口唇口蓋裂など先天性疾患の治療

  産科、小児科、形成外科、耳鼻咽喉科とのチームアプローチにより治療を行っています。出生時から成人まで長期にわたりサポートしています。


6 がん治療を受けている方の口腔ケア

  がん治療(化学療法、放射線療法、手術)を受ける方に対して行っています。 治療前後に関わらず、がん治療による口腔トラブルを予防し、治療中の副作用への対応など を行っています。がん治療への口腔ケアの介入は、口内炎や呼吸器合併症(肺炎など)、傷の治りの促進など、多くの効果が証明されており、かかりつけの歯科医院や福島県歯科医師会と連携し、口腔ケアを推進しています。



当科を受診される患者様へ

●完全予約制、紹介制となります。気になる症状があれば、かかりつけ医に相談していただき、紹介状の作成を依頼して下さい。紹介元医療機関より、当院の患者サポートセンター(地域医療連携担当)を通して予約をお取りします。

●難抜歯やインプラント治療などは、原則的に初診当日は検査や説明のみとなり、後日改めて処置を行います。ご了承くださいますようお願い致します。

診療の詳細案内
病名・病態 必要な診療 当科の対応方法
顎口腔の奇形
唇顎口蓋裂
哺乳・離乳等の指導から手術まで 産科・形成外科等とのチームアプローチによる治療。入院下での手術を行います。
顎口腔領域の炎症
 歯冠(智歯)周囲炎
 顎骨周辺の膿瘍、蜂巣炎
 歯槽骨炎、顎炎、骨髄炎
画像診断、消炎処置、抗菌剤投与、原因歯の処置など 処置後、重傷例は入院下での治療を行います。
顎口腔の嚢胞性疾患
 歯根嚢胞
 顎骨嚢胞
画像診断、病理検査、外科的処置 外来手術もしくは入院下での手術を行います。
顎口腔の腫瘍性疾患
 悪性腫瘍
 良性腫瘍
画像診断、病理検査、外科的処置(悪性の場合は化学療法、放射線療法) 悪性腫瘍では、手術、化学療法、放射線治療を組み合わせ集学的治療を行います。動注化学療法を併用し、臓器温存を検討しています。入院治療となります。
良性腫瘍では、手術が中心となります。
顎口腔領域の外傷
 歯、歯周組織の損傷
 口腔軟組織の外傷
 歯槽骨骨折、顎骨骨折
画像診断、外科的処置整復固定術など 救急処置後、必要に応じ入院下での治療を行います。
口腔の粘膜疾患
 口腔白板症など
病理検査、外科的処置 基本的には外来診療で対応し、必要に応じ入院下での治療を行います。
顎変形症 画像診断、矯正治療、手術 歯科矯正医と連携の上、手術を行います。
ほとんどが手術前後の矯正治療が必要です。
顎関節疾患
 顎関節症
 顎関節脱臼
画像診断、薬物治療、保存的治療整復術 基本的には外来診療で対応します。
習慣性の脱臼は手術を検討します。
歯科インプラント(人工歯根) 造骨手術
インプラント埋入術
外来診察後、外来手術もしくは入院下での治療を行います。充分な歯槽骨がない場合は造骨手術を行い、約半年後にインプラントを埋入します。

 

公立大学法人福島県立医科大学附属病院 歯科口腔外科
(外来) 電話 024-547-1235  FAX 024-547-1235